【F.A.G】バラクーダ②

「クッソ、えーぇトコやったのに邪魔しやがって」一通り暴れ終えると、丈威は満足したのか鼠色のソファにケツを放った。 元々爆撃地並みに汚かった部屋は、ヤツ(と俺)のせいで目も当てられない有り様だ。「ちゅーか、まだ時間やないっちゃろ?あーあーマジダ…

【F.A.G】バラクーダ①

ダニの交通渋滞みたいなベッドで目を醒ますと、丈威(ジョーイ)はまだテレビ画面に釘付けだった。 難聴待ったなしの爆音の海の中、ヤツは時たま『ウォッ!』だとか『クソッ!』だとか『死ね!』だとか唸りながら、ご自慢のドレッドヘアーをユサユサ揺らしてア…

【F.A.G】プロローグ

「死ねっ!」デボは吐き捨てた。 もう何度目かもわからない。「いいか!?俺はお前の上司だ!つまり不運にも、おれにはお前を指導する責任が生じてしまう!お前のような便所虫とは一文字たりとも言葉を交わしたくないのにだ!」ここは製紙工場で、デボは現場…