2019-01-01から1年間の記事一覧

【F.A.G】パリサイド⑫

【後日編集予定です。申し訳ありません】 人から見れば下らない悩みだろう。まあ、そんなもんさ。十六の頃から世の中を彷徨いて、さまよって、しなくていい苦労をした結果、俺が学んだ真実は、人の信頼や友情なんてもんは、思ってるより足が早いって事だ。こ…

パリサイド⑪

【後日編集予定です。申し訳ありません】 人から見れば下らない悩みだろう。まあ、そんなもんさ。十六の頃から世の中を彷徨いて、さまよって、しなくていい苦労をした結果、俺が学んだ真実は、人の信頼や友情なんてもんは、思ってるより足が早いって事だ。こ…

【F.A.G】パリサイド⑩

【後日編集予定です。申し訳ありません】 不幸ってのは気まぐれで、誰の肩に落ちてくるのかわからない。しかも一番厄介なのは、そいつが絶妙なタイミングでやって来るってことだ。幸せや楽しい出来事ってのは長続きしない。訪れた瞬間は最高にハイな気分にな…

【F.A.G】パリサイド⑨(未編集)

【後日編集予定です。申し訳ありません】 「お前の過去に口出しをするつもりはない。だが、あまり深く考え過ぎない事だ。」「…あんたには感謝してるよ」俺はカウンターから立ち上がると、吐き出した紫煙の行方を追っているイサキを背にその場を後にした。 ハ…

【F.A.G】パリサイド⑧(未編集)

【後日編集予定です。申し訳ありません】 人から見れば下らない悩みだろう。まあ、そんなもんさ。十六の頃から世の中を彷徨いて、さまよって、しなくていい苦労をした結果、俺が学んだ真実は、人の信頼や友情なんてもんは、思ってるより足が早いって事だ。 …

【F.A.G】パリサイド⑦(未編集)

【後日編集予定です。申し訳ありません】 俺にとって奴からの接触は、毎度毎度いい思い出がなかった。なのできっと今回もどうせろくでもない頼み事なのは容易に想像がついたが、俺にはどうしても断れない理由があった。奴には借りがある。いや、どちらかと言…

【F.A.G】パリサイド⑥(未編集)

【後日編集予定です。申し訳ありません】 不幸ってのは気まぐれで、誰の肩に落ちてくるのかわからない。しかも一番厄介なのは、そいつが絶妙なタイミングでやって来るってことだ。幸せや楽しい出来事ってのは長続きしない。訪れた瞬間は最高にハイな気分にな…

【F.A.G】パリサイド⑤

傾いた木製ベッド。ヤニと焦げ目まみれのテーブル。 安物の合皮のソファは、あちらこちらで詰め物がコンニチワしている。 隅っこのひび割れたブラウン管は、この前道端でスカウトしてきた新入りだ。膝下くらいの高さの冷蔵庫からビールを取り出し、ソファに…

【F.A.G】パリサイド④

「違ぇねえな」俺はカウンターを立つと、イサキに向かって小さく手を挙げて、それを礼の代わりにした。「あんたもあまり無理すんなよ。残り少ない余生なんだ、楽しんでいけや」「馬鹿野郎ッ」イサキは笑うと、短くなった巻き煙草をスチールの灰皿に押し付け…

【F.A.G】パリサイド③

ショーハウスF.A.G。社会に居場所のない糞餓鬼の溜まり場。ろくでなし共の最終地点。 全うに生きてる人間には一生縁のないごみ溜めだが、俺にとっちゃあお似合いの場所だった。元々人よりは多少腕っぷしが利くほうだった俺は、ここで『警備員』として雇われ…

【F.A.G】パリサイド②

「顔色が優れないな、リベラ。何かあったのか?」俯いていると頭の上から声がした。 それがイサキのものだと気づいたのは、顔を上げた後だった。 無口なこの男が話し掛けてくるのは珍しく、最後に声を聞いたのはいつだったか、すぐには思い出せないほどだ。…

【F.A.G】パリサイド①

首根っこを掴んで裏口から放り出すと、糞餓鬼は間抜けな声を上げてアスファルトの上に転がった。 起き上がって逃げ出そうとするが、アルコール(と何かしら)のせいでなかなか上手くいかず、結局半分這いずるような形でノロノロとその場を離れていく。別にこ…

【F.A.G】バラクーダ⑳

「ちょ…!ちょっと待つのね!!待って!!教える!!教えるから離すのねッ!!」豚足みたいな両脚をバタつかせるモリソバを解放してやると、奴は首元を擦りながら呼吸を整えた後、ごくりと一度、喉を鳴らして話し始めた。「私が知っている訳じゃないのね。知…

【F.A.G】バラクーダ⑲

「まずいな…」考えうる最悪の答えだった。いや、モリソバの話を聞く前から、本当は薄々感づいてはいた。自らその可能性に目を背けていたのだろう。だがいずれにせよ確かなのは、今こうしている間にもペコの身が窮地に追いやられているということだ。「…で?…

【F.A.G】バラクーダ⑱

「…奴ら、『主の指』の団員よ」モリソバは『これだけ言えばわかるだろ?』といった表情で俺の顔を見返した。『主の指』…ここらじゃあ知らない者のいない、イカれ腐ったカルト集団だ。 奴らの反吐が出るエピソードは、この街で生きてれば飽きるほど耳に入って…

【F.A.G】バラクーダ⑰

丈威が再び夢の世界へと旅立ち20分程経った時、玄関の呼び鈴が、奴の空襲並みのイビキの中に鳴り響いた。鍵を開けて出てみると、モリソバが肩を落として立っていた。腹の中に砂利でもブチ込まれたみたいに青ざめた顔をしている。どうやら悪い知らせの様だ。 …

【F.A.G】バラクーダ⑯

【PM 8:20 事務所にて】 「あンのクソゴリラがぁーッ!!」丈威は足元の丸テーブルを思い切り蹴飛ばした。事務所に戻ってきてからずっとこの調子だ。 それも無理はない。こいつは今まで自分の意見という名の我が儘を、腕っぷしひとつで周りに無理矢理納得さ…

【F.A.G】バラクーダ⑮

気絶しているペコをポトロが肩に担ぐのを見ても、俺はその場を動けなかった。「行きましょう、大法師様」ポトロの言葉に、置物みたいに突っ立っていた女は頷き、奴の大きな背中に続いた。 今の一連の出来事の中、まるで自分だけは関係ありませんよって感じの…

【F.A.G】バラクーダ⑭

「訳のわからんことばっか抜かしやがって!ペコになんする気や!?クソ野郎!!」俺の位置から辛うじて分かる程度だか、丈威の体は震えている。「喋るな、ゴミ。お前には何も説明する義理はない。大人しくそこでマスでもカいていろ。混血野郎(ざっしゅ)」…

【F.A.G】バラクーダ⑬

「まず一つ、聞こう。間違いがあってはいけないからな。こちらの方に見覚えはあるか?ゴミ」ポトロは女の方に手を向けた。 質問されたペコは、まるでアラスカに裸(マッパ)で放り投げられたように体を震わせながら、頭を上下に動かした。「よし、いいだろう…

【F.A.G】バラクーダ⑫

『そいつ』はまるで暖簾のように開いた扉を潜ると、無言で部屋に足を踏み入れた。俺はというと、情けない話だが、その圧力に尻込んでしまい、自然と道を譲る形で体を避けてしまった。ツータックのスーツにレザーのロングコート、革靴にワイシャツにネクタイ…

【F.A.G】バラクーダ⑪

「あーぁ、俺もペコくらい女にモテたかね。なぁマキオ?」「へーへー分かったから。さっさと用意して帰んぞ。あの女(ブス)がポン刀持ってカチこんで来る前にな」「あはッ、確かに!」丈威が再び少年の様な顔で笑う。ペコも流石に弄られ慣れたのか、もう負…

【F.A.G】バラクーダ⑩

「他人事だと思いやがって!糞ッ!!気分悪ぃ…なんで俺ばっかりッ…!!」青い顔で悪態をつくペコを見て、さすがに少し申し訳ない気持ちになった俺だったが、空気というものをまるで読めない丈威は、まだ先程までの余韻に浸って肩を揺らしていた。「テメェも…

【F.A.G】バラクーダ⑨

「あなたの凛々しく、逞しく、破天荒で、繊細優雅なお姿、拝見させていただきました。そして私、確信したのです。きっと、今日という日はあなたと私のために、聖痕(スティグマ)を纏いし救世主(メサイア)様が用意してくださった特別な日だということを」…

【F.A.G】バラクーダ⑧

【PM7:05 ライブ終了】 「うぇ~、こいつバカ汚ぇんやけど」丈威は悪態をつきながら、それでも言葉とは裏腹に、汗とゲロにまみれたペコに肩を貸した。「サイアク…サイアク…」「こっちのセリフじゃ、ボケッ」丈威が軽く頭を小突くと、ペコはギリギリ聞こえる…

【F.A.G】バラクーダ⑦

地面を舐めた経験は何度もあったが、これほど寝覚めが悪いのは生まれて初めてのことだった。 頭が割れる様に痛い。まるで内側から金槌で殴り続けられてるみたいだ。鉄の味が口に広がり、あり得ないほど熱を持っているのがわかる。融通のきかない両腕を無理矢…

【F.A.G】バラクーダ⑥

石油(オイル)みたいな虹色の視界の中、ゆっくりとステージ上へ足を進める。 同時に、暗闇の最前列から悲鳴と罵声が上がり、それが一瞬でフロア全体に伝播する。 続いて丈威、ペコの順でステージに上がる。 丈威は相変わらずイキがってトンがっているが、ペコ…

【F.A.G】バラクーダ⑤

「じゃあ乾杯いっとくべよ」丈威がケツポケットからタマを取り出し、掌に置いて見せた。丁度三錠。 一人づつ手に取る。綿埃(わたぼこり)がちょっとだけ気になるけど。 一体いつから置いてあるのか、テーブルには温(ぬる)くなった缶ビール。こちらもぴったり…

【F.A.G】バラクーダ④

【PM6:20 ショーハウスF.A.G】 控え室のドアを開けると、モリソバがちんちくりんな体をパイプ椅子に預けてタマを食っていた。熟れすぎたトマトみてえにパンパンの顔(ツラ)は爆発寸前といった様子だ。「遅いのね。遅すぎるの」でっぷりと膨らんだ腹にちょび髭…

【F.A.G】バラクーダ③

「……まん」「何て言ったと?ペコ」「…もう二度と酒飲まん」「何回おんなしコト言いよるんやお前。脳ミソも一緒にゲロしてきたんか?」肩を揺らして笑う丈威。ペコは小声で『うるせー、馬鹿』と呟くと、足元に転がっているペットボトルを手に取り、中の水を一…