【F.A.G】パリサイド③

ショーハウスF.A.G。社会に居場所のない糞餓鬼の溜まり場。ろくでなし共の最終地点。
全うに生きてる人間には一生縁のないごみ溜めだが、俺にとっちゃあお似合いの場所だった。

元々人よりは多少腕っぷしが利くほうだった俺は、ここで『警備員』として雇われた。
まあ警備といっても主な仕事は、羽目を外してはしゃぎ過ぎたジャンキーを摘まみ出したり、血の気の多い客同士のいざこざの仲裁に入ったりと、早い話が雑用係の便利屋だ。

「あんたには感謝してるよ。仕事にも別に不満があるわけじゃないさ。ただ…」

俺は頭の上で両手を組み、一度大きく背筋を伸ばした。

「やはり、もう年かね。体の調子がついて来ないんだ。たまに客のガキ共が羨ましく感じるよ」

「俺から見れば、まだお前さんも十分若いさ」

イサキは吐き出した紫煙の行方を追いながら、励ましとも懐古ともわからない台詞を呟いた。

「何にせよ、どう転んだって明日は来るんだ。さっさと帰って寝ちまうこったな。こっちもそろそろ店仕舞いだ」