【F.A.G】バラクーダ⑰





丈威が再び夢の世界へと旅立ち20分程経った時、玄関の呼び鈴が、奴の空襲並みのイビキの中に鳴り響いた。

鍵を開けて出てみると、モリソバが肩を落として立っていた。腹の中に砂利でもブチ込まれたみたいに青ざめた顔をしている。

どうやら悪い知らせの様だ。











「良くない、良くないのよ。本当、なんで君達はこう、トラブルばかり持ち込んで来るのかしら。たまにはこっちの苦労も考えて欲しい訳なのよ。全く君達のそういう…」

モリソバは俺と向かい合う形でソファに腰を下ろすと、いつもの調子でウダウダと愚痴を撒き散らし始めた。
ちなみに丈威はまだ、俺の後ろでオヤスミ中だ。

「わかったから、取り敢えず結果だけ聞かせてくれや。あいつらが何処の誰だか、まずそっちだろ?」

話を途中で遮られたモリソバは露骨に嫌な顔をしたが、自身のくたびれた口髭をひと撫ですると、渋々といった様子で口を開いた。